エンデミックに至る過程で予想される大量の高齢者の死 今が未来を変えるラストチャンス
なし崩し的に対策緩和に舵が切られる中、新型コロナが普通の感染症になるまでに予測されるのは大量の高齢者の死です。医療逼迫も考えられる中、西浦博さんは今が未来を変えるラストチャンスだと、国民的な議論を呼びかけます。

(略)

人口構造が変わるようなインパクト、本当に受け入れるのか?
??今回の分析、高齢者がミッドタームやエンデミックに移行する過程で亡くなっていくという内容でしたが、「高齢者が死ぬのは仕方ない」という声が強まっています。

そういう声をデータ分析をしている立場でもヒシヒシと感じています。他のヨーロッパの国では、死亡構造がガラリと変わるような流行が起こっています。今までの死因や人口の年齢分布も大きく変えるのがパンデミックの特徴です。

特に流行規模が大きかったイタリアやイギリスの疫学者と議論をしていると、「すごい数ですね」と僕がいうと、「パンデミックってこういうものでしょ?」と言われます。

今まで低い感染レベルで来ていた日本に残された出口は、重症化リスクの高い人にブースター接種を進めながらエンデミックに移行する方法ぐらいしか残されていない。

高齢者が死亡するリスクを低く抑えながら推移させる強い覚悟を持ちながら、きめ細かく、ファイティングスピリットを持って、死者を増やさないように対策を打てるかどうか。大きな分水嶺に差し掛かっています。

中間的な解はあまりないのです。ぎりぎりなんとかスレスレに死亡者を少なくするぞとまだまだ頑張るのか、あるいは、全面緩和によって多くの死亡が出るのを許容してしまうのか、です。

まずは重要な分水嶺にあることをみんなが認識した上でこの問題を考えなければいけません。

そして「死んでも仕方ない」と言う時、人口学的な構造が変わるぐらい大きなインパクトを受け入れるということをわかっているのか、それで本当に良いのか。

それを逃れるチャンスがまだ日本にはあります。医学、経済学、政策学の研究者だけでなく、広い範囲の皆さんがそれぞれの意見を出し合ってもらいたいと思います。

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