安倍氏銃撃「最終決断は7月」 生活困窮も一因か

自民党の安倍晋三元首相(67)が奈良市での参院選の演説中に銃撃されて死亡した事件で、殺人容疑で送検された無職、山上徹也容疑者(41)が、「安倍氏の銃撃を最終的に決断したのは7月に入ってからだった」という趣旨の供述をしていることが15日、捜査関係者への取材で分かった。

今年5月に派遣社員として勤務していた工場を退職した後は無職だったとみられ、奈良県警は生活困窮への不安も最終的に犯行を決意した一因になった可能性があるとみている。事件は15日、発生から1週間を迎えた。

山上容疑者は、母親が入信している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みがあり、「安倍氏と家庭連合につながりがあると思い、殺そうと思った」とも供述している。銃などの武器の製作も1年以上にわたって続けていた。

一方で、奈良市内の家庭連合関連施設が入る建物に発砲したり、安倍氏の演説先を調べて付け回すなどしているのは7月以降。安倍氏は、6月28日にも応援演説のため奈良に入っているが、山上容疑者が会場に向かったことは確認されておらず、その時点では襲撃の実行を決意していなかったとみられる。

山上容疑者は派遣社員として京都府内の工場で勤務していたが、派遣会社や工場によると、5月15日で体調不良を理由に退職。以降は収入が途絶えていた可能性が高い。捜査関係者によると、所持金は尽きかけていたという。

https://www.sankei.com/article/20220715-CJT4JN6X25PRDHN7ZTXIKOSEAE/