ゴキブリ成虫に注射するだけで遺伝子変異 ゲノム編集の新手法、京大が開発
昆虫の成虫に注射するだけで容易にゲノム編集できる手法を、京都大のグループが開発した。
従来は卵に直接注射する必要があり、技術や費用面で課題があった。ゲノム編集によって食用に改良したり、
害虫の病原性を取り除いたりするなど、産業への応用が期待されるという。
16日に米科学誌セル・リポーツ・メソッズに掲載された。
ゲノム編集は狙った遺伝子を変異させる技術で、品種改良などに用いられる。
最近では肉厚のマダイや栄養分を増したトマトの開発といった食品への応用が進む。
昆虫でもゲノム編集は可能だったが、高度な技術や特別な装置が必要な上、卵の形や大きさから注射できないケースもあった。
京大農学研究科の大門高明教授や大学院生の白井雄さんらは、
成虫が卵を形成する過程で特定のタンパク質を大量に取り込む時期に着目。
ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を使い、
このタイミングで体内に試薬を注射することで生まれた幼虫に変異を生じさせることに成功した。
チャバネゴキブリの実験では生まれた244匹のうち約20%の55匹で変異した。
卵への注射は殻のようなものに覆われているため技術的に難しかったが、成虫への注射でゲノム編集が可能なことを確認できた。
系統的に遠いコクヌストモドキでも半数以上で変異したため、大半の昆虫に対応できるとみられるという。
大門教授は「簡単で安価に昆虫のゲノム編集ができるようになる」と期待しつつ、
「むやみな品種改良は生態系への悪影響などが懸念され、規制の順守が求められる」と話している。
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昆虫ゲノム編集のイメージ(京都新聞)
https://i.imgur.com/NN5dR25.jpg
https://news.yahoo.co.jp/articles/20ac521ba1afdb219b698e704b599dbe212618f3