■日本語学校のあきれた誓約書

 学校側は留学生が入学時に署名した「誓約書」(写真)に基づき、300万円の支払いを求めていた。私は数人の留学生から、この誓約書を入手している。そこには「所在不明にならない」「法律で禁止されているアルバイトをしない」「理由なく遅刻、欠席をしない」「勝手に留学ビザから就労等他のビザに変更しない」など7項目が記されていた。その上で、「いずれかに違反した場合には、学校に対し300万円の損害賠償金の支払いに応じます」との条件を課している。

 学校は河北新報に対し、誓約書をつくった経緯について、「(留学生が)就労目的で留学ビザを取得し、すぐに退学して就労することを防ぐため」だったと説明している。しかし「遅刻」「欠席」程度で「300万円」を請求できるのであれば、学校のやりたい放題だ。

 そんな誓約書に、なぜ留学生たちは署名したのか。内容がどうであれ、署名すれば同意したことになる。その点に関し、河北新報は触れていない。

 記事が掲載された時期も気になる。ベトナム人女性が300万円の支払いを求められたのは昨年6月だ。私がこの女性を取材すると、翌7月には知人の紹介で、河北新報に連絡していたというのだ。

「7月21日に(同様に学校とトラブルになっていた)ベトナム人留学生3人と一緒に河北新報のインタビューを受けました。新聞で取り上げてもらえば、お金を払わなくて済むと思ったのです」

 しかし記事になったのは、インタビューから7カ月が経った今年2月末だ。この時はすでに彼女と学校のトラブルは解決していた。そのタイミングを待っていたかのような記事なのだ。女性はこう話す。

「記事にしてもらえたのはよかった。でも、どうして学校の名前が隠されているのでしょうか。私以外にも被害に遭い、困っている留学生は今も大勢いるんです」

 実は、問題の学校は全国屈指の大学進学率で、業界内では知られる存在だ。新入生に対するビザ交付率も抜群に高い。そんな入管当局も認める“優良校”で、ベトナム人留学生たちに何が起きているのか。 

(引用終わり)