【パリ時事】フランスで24日、中道のエマニュエル・マクロン大統領(44)と極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン候補(53)による大統領選決選投票が行われた。2017年の前回選挙に続く両者の対決。最新の世論調査ではマクロン氏が優位に立っている。即日開票され、同日夜(日本時間25日未明)にも大勢が判明する見通し。

対EU・ロシアで相違 ルペン氏勝利なら外交転換―仏大統領選

 マクロン氏が再選されれば、国際協調を重視した外交方針が継続する。反移民で欧州連合(EU)懐疑派のルペン氏が当選した場合は排他主義や外交政策への懸念が高まる。
 マクロン氏は富裕層に有利な政策を進め、庶民層の反発を招いたが、新型コロナウイルス対策や外交手腕は一定の評価を受けている。16日に南部マルセイユで開いた集会では、「この選挙はEUに賛成か反対かの国民投票だ」と強調。内向き志向のルペン氏との差別化を図った。
 一方、ルペン氏は過激な移民排斥発言を控えてイメージの穏健化に努めた。家計支援策を柱に若年層や庶民層の支持を拡大し、「毎日の生活の大統領になる」と訴えてきた。しかし、雇用や公的手当などで「仏国籍者優先」を公約に掲げ、移民を標的にした排他主義は変わっていない。
 前回選挙ではマクロン氏がルペン氏を大差で破った。今回はマクロン氏とルペン氏の世論調査の支持率は一時、51%対49%と拮抗(きっこう)したが、10日の第1回投票後はその差が拡大。ルペン氏の極右思想に対する有権者の根強い不安があるとみられ、22日のエラブ社の世論調査ではマクロン氏が55.5%、ルペン氏は44.5%だった。
 世論調査での予想投票率は68〜72%。前回選挙では74.6%だった。投票率低下の理由の一つとして、フランスでは現在春休み中で旅行に出ている人が多いことが挙げられている。期日前投票制度はなく、投票日に自分の選挙区内に不在の場合は、代理人に投票してもらう必要がある。
 低投票率がどちらの候補に有利となるかは不透明だ。政治学者ギヨーム・ラベ氏は「富裕層が旅行に出掛け、庶民層が投票に行けばルペン氏に有利だ」と分析。一方で「ルペン氏支持者はマクロン氏支持者に比べて政治に無関心な低学歴層が多く、もともと投票率は低い」と指摘した。

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