中国東方航空機墜落で暫定報告、原因特定に至らず−ネットで不満の声

中国南部・広西チワン族自治区の山中に先月墜落し、乗客乗員132人全員が死亡した中国東方航空機について、中国航空当局は20日、暫定調査報告書を公表した。新たな手掛かりをほとんど示さず、墜落原因の特定にはまだ時間を要するとした。

中国民用航空局は報告書の短い要旨で、墜落した東方航空のボーイング737−800NG型機から回収した2つのブラックボックスのデータ解析を調査官がなお続けていると指摘。飛行前の機器の故障や天候、パイロットの技能に関する問題を示す証拠はなかったという。

1カ月にわたり機体の残骸やデータを詳しく調べても具体的な調査結果は乏しく、中国当局が今回の調査や情報開示に極めて慎重であることを示唆している。
米連邦航空局(FAA)で事故調査責任者を務めたジェフリー・ガゼッティ氏は、「これほど待って潜在的シナリオも大して示していないわずか4、5段落の説明であり、恐らく意図的だ」と語る。
同氏によると、調査官は本来なら墜落時にエンジンが機能していたのか、さまざまな機器がどのように設定されていたのかなど、残骸から多くの手掛かりを得ることが可能だが、今回の要旨にそのような調査結果は含まれていなかった。
高速での墜落で激しく損傷した2つのブラックボックスからのデータ収集作業は、なお進行中だと暫定報告書は説明。データ回収不能だと言及しなかった点は注目される。

具体性に乏しい今回の報告書を受け、中国のソーシャルメディアでは失望や不満の声も上がり、「有益なものが何もない」との投稿もあった。
米運輸安全委員会(NTSB)とボーイングからも調査のためチームが中国に派遣されたが、今月14日に帰国したとNTSBが電子メールでの20日の声明で明らかにした。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-21/RANUXRT0G1KZ01