中国などからの輸入アサリが「熊本県産」に偽装されていた問題に対処するため、熊本県漁連などが約2カ月止めていた
県産アサリの販売を県内限定で再開したところ、順調な滑り出しを見せている。県は当面の販売を独自のトレーサビリティー(生産流通履歴)制度の
実証実験と位置づけているが、消費者の評判は上々。漁獲量も近年になく多く、県は月内にも販売先を福岡県まで広げる。

 熊本県産アサリの販売は14日以降、県と協定を結ぶ県内の「モデル販売協力店」93店で順次再開した。
同県菊陽町のショッピングセンター「ゆめタウン光の森店」では15日、30キロを用意。従来の1・6倍の100グラム158円で店頭に並べたが、夕方までに完売した。
高津修・食品店長(47)は「韓国産は10キロでも売れ残った。やはりお客様の反応が良い」と話した。

 アサリを買った菊陽町の島崎照美さん(71)は「県産がなくなってアサリを食べるのを我慢していた」。同町の藤田龍子さん(70)は
「正真正銘の熊本産を食べられてうれしいが、少し高い」と苦笑い。一方、熊本市東区の西野成雄さん(66)は
「まだ買う気になれない。行政がどこまで監督できるか」と話した。

 同店によると売れ行きはその後も順調だという。イオン九州(福岡市)の熊本県内の店舗では、販売数量が前年同期比2倍で売り上げが3倍。
鶴屋百貨店(熊本市)も1日20キロを仕入れて、ほぼ完売の日が続く。

https://mainichi.jp/articles/20220422/k00/00m/040/287000c