親ロシア派との戦闘が続くウクライナ東部ドネツク州で、政府軍が支配するクラマトルスクの鉄道駅に8日、
弾道ミサイルが撃ち込まれた。

 民間人に多数の犠牲者が出たと分かると、ロシアのメディアは「ウクライナ軍のミサイル」と報道。
ただ、主張には早くもほころびが見える。

 ロシア軍は首都キーウ(キエフ)を含む北部の制圧に失敗。プーチン政権が重視する5月9日の旧ソ連の
対ドイツ戦勝記念日までに一定の「成果」を得るべく、南東部を近く総攻撃する可能性がある。
ウクライナ政府は「逃げられない恐れがある」と住民に即時避難を訴えていた。

 ウクライナ側の発表によると、クラマトルスクの駅は女性や子供など避難民約4000人で混雑。
そこに短距離弾道ミサイルが着弾した。現地からの映像や写真によると、人々は倒れ、大きな荷物が
散乱していた。ミサイルの残骸にはウクライナ語ではなくロシア語で「子供たちのために」と書かれていた。

 「ウクライナ軍が集結しているクラマトルスクの駅を10分前に攻撃した」。着弾当初、
複数の親ロシア派ニュースは通信アプリ「テレグラム」でこぞって戦果として伝えた。しかし、
避難民に死傷者が出ているのが判明し、不自然な形で削除。ロシアのメディアはウクライナ軍の
仕業であると宣伝し始めた。

 地元記者の間では、2014年にドネツク州の親ロシア派支配地域上空でマレーシア航空機が撃墜され、
乗客乗員298人が死亡した事件との類似性を指摘する声が上がる。この時、旅客機と判明するまで、
親ロシア派幹部は「ウクライナ軍機を撃墜した」と誇り、これが間違いだと分かると、ウクライナ側への
責任転嫁を図った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff562a08c285ed050b2dc99c9324e8e0c695573d