兵庫県尼崎市教育委員会は、尼崎双星高校でいじめ被害を訴えて長期欠席している男子生徒と退学した女子生徒について、それぞれいじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認定し、第三者委員会で調査を始めた。生徒らは学校の対応に疑問を感じ、ユーチューバーに相談。学校と話し合う動画が拡散されている。白畑優教育長は「もっと早く学校と連携し、生徒に寄り添った対応が必要だった」と述べた。

 28日に開かれた総合教育会議で明らかにした。

 市教委によると、男子生徒は学校行事に絡んでいじめを受けるようになり、昨年2月に学校に相談。学校は対応を始めたが、生徒は翌年度の2学期から登校できなくなった。

 市教委は8月、重大事態として学校主体の調査を始めたものの、生徒は改善の見通しが立たないとして人気ユーチューバーに相談することにした。その結果、生徒とユーチューバーが学校側と話し合った様子を撮った動画は今年1月中〜下旬に3回に分けて配信され、計430万回以上再生されている。

 また、女子生徒は昨年2月から同級生とトラブルになったが、学校側はいじめとは認識せず、市教委にも報告していなかった。同9月になり保護者が市教委に連絡していじめと認知し対応したが、今年1月に退学した。男子生徒の動画を見て「自分もいじめ被害を受けて退学した」とユーチューバーに打ち明けたという。

 稲村和美市長は「ユーチューバーに頼るしかなかった、ということが私たちに突き付けられている事実。スピード感のずれがあった」と指摘。市教委は夏ごろまでに調査報告書をまとめたいとしている。(広畑千春)

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