春を知らせる雨が勢いよく降った18日午前、昼休みを控えた大阪市生野区のコリアタウン入口には食欲をそそる美味しそうな香りが充満していた。店先の料理台から立ち上る、こんがりと焦げ目がついたチヂミの香りだった。
足元は良くなかったが、フライドチキン店・ホットク店・キムチ専門店の前には傘をさした人々が長い列を作っていた。堺市から来たという50代の日本人女性は「キムチを買いに1カ月に2回ほど立ち寄る」としながら
「スーパーでもハクサイキムチは手に入るが、ここではカッキムチやカクテキなどさまざまな種類のキムチを味わえるのでよい」とした。

大阪JR鶴橋駅あるいは桃谷駅から約15分、商店街に沿ってしばらく歩いていくとここに到着する。正式名称は「大阪生野コリアタウン」だが、俗に「大阪コリアタウン」と呼ばれている。500メートル余り続く道の両側に
120店舗がひしめいている。韓国レストランや韓国化粧品店、韓流スターの写真を売る土産物屋などだ。

一時鶴橋一帯は、日本の植民地だった朝鮮、特に済州島(チェジュド)から渡ってきた人々が集まって住んでいたところだった。在日コリアンの人生を扱った映画『血と骨』などの舞台にもなった。仕事を求めて、
また強制徴用によって大阪に来た人々が集落を形成し、彼らのために韓国料理や物品を売る市場ができていった。日本人にとっては長い間「朝鮮人村」「危険な地域」と認識された差別の歴史が残る場所だ。

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