<民主主義のあした>
米国では今、「ジェネレーション・レフト(左派世代)」と呼ばれる若者が政治を動かし始めている。民主主義の危機が叫ばれる中、大勢の若者が左派に引きつけられる理由とは―。日本の現状とともに紹介する。
◆「持たざる者」の代表として24歳で市議初当選
「持たざる者は、少数の資産家に搾取され続ける。安定した生活を望む大半の家庭が困窮してしまった」
パキスタン出身の両親を持つアイシャ・チャグタイ(24)は、政治団体「米国民主社会主義者(DSA)」に参加した。コロナ禍が「持たざる者」の苦境を深める中、昨秋の中西部ミネソタ州ミネアポリスの市議選に立候補し当選。同市初のDSA市議は史上最年少の彼女を含め3人誕生した。
世界を揺るがした2001年9月の米中枢同時テロの後、チャグタイはイスラム系住民の地区で育った。08年にはリーマン・ショック後の金融危機が家族を襲う。自動車整備士の父は失業。学位を取るため多額の学生ローンを背負い、苦しい生活から抜け出すことは一層難しくなっていた。
格差社会の変革を訴えて16年と20年の大統領選で民主党候補の指名を争った民主社会主義者バーニー・サンダース(80)に共鳴するのは自然の流れだった。
チャグタイと同じ25歳以下の「Z世代」と、41歳以下の「ミレニアル世代」は経済格差と差別、気候変動問題の根底にある「資本主義の論理」を厳しく問いただす。
つづく