NHK大阪拠点放送局が昨年末に放送したBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」を巡り、番組内の不適切な字幕について謝罪した問題。同番組で取材した男性について、報酬をもらい五輪反対デモに参加しているとの字幕を付けたが、男性が実際にデモに参加していたか確認していなかった。

懲りない昭恵夫人「勝負の3週間」でも“マスクなし密旅行”

 密着を受けた映画監督で東京五輪の記録映画のメガホンを取った河瀬直美氏も炎上する中、彼女の“政界人脈”に注目が集まっている。

 河瀬氏といえば、2007年のカンヌ国際映画祭で「殯の森」が最高賞に次ぐグランプリを受賞するなど、日本を代表する映画監督のひとり。「カンヌの申し子」との異名を取る華やかな実績を持つだけあって、その“人脈”もまた輝かしい。

 映画「あん」がカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門のオープニング作品に決まった2015年、同作を観賞した安倍首相(当時)の妻・昭恵夫人からラブコール受け週刊誌「AERA」で対談。17年には東京・上野で開かれた芸術イベントに駆け付けた安倍元首相と挨拶を交わしている。

■「日本は美しい国」

 翌18年には日仏友好160周年を記念してフランスで開催された「ジャポニスム2018」で日仏合作映画をお披露目。安倍氏の代理で出席した河野外相(当時)と一緒に観賞し、当時のやりとりを毎日新聞朝刊(同年8月5日付)に次のようにつづった。

〈エンドクレジットが流れると、会場は拍手に包まれ大臣からは「美しいですね」との感想を受けた。わたしは思わず「はい、日本は美しい国です」と発言していた〉

 美しい国、日本──。かつて、こんなフレーズを繰り返した安倍氏も映画監督になるのが夢だったというから、もしかしたら2人は似た感性を持っているのかもしれない。

 河瀬氏には東京五輪公式映画監督以外に、25年開催予定の大阪・関西万博のプロデューサーという肩書もある。

 日本経済新聞のインタビュー(20年12月23日付)では万博開催の意義を問われ、「0か1かという欧米的な発想ではなく、八百万の神の世界の中で多様性を受け入れてきた日本的な考えを世界に発信することが重要だと思います」と主張。河瀬氏を東京五輪公式映画監督に選んだ当時の大会組織委員会会長が、「日本は神の国」で知られる森元首相だったのは、神のおぼしめしだろうか。

 河瀬氏はカンヌのグランプリ受賞後に甘利経産相(当時)を表敬訪問し、国が映画作りを援助して日本の考えを世界に発信する必要性を訴えている。「体制寄り」といった批判が相次いでいるが、6月公開予定の公式映画で名誉挽回できるのか。