<在日コリアンを狙った犯罪が相次いでいる。京都府宇治市にあるウトロ地区への放火事件や
大阪府東大阪市の民団支部へのハンマー投げ込み事件など悪質なものだ。
岸田首相は人種差別に断固反対するメッセージを打ち出すべきだ>

<在日コリアンを狙った犯罪が相次いでいる。
京都府宇治市にあるウトロ地区への放火事件や大阪府東大阪市の民団支部へのハンマー投げ込み事件など悪質なものだ。
岸田首相は人種差別に断固反対するメッセージを打ち出すべきだ>

被疑者については奈良県在住の22歳の男というだけで、動機や背景に関しては今のところ伝わってはいない。
しかし一連の犯行は、民族マイノリティを狙った憎悪犯罪(ヘイトクライム)と呼ぶことができるだろう。
京都市内の複数の市民団体も、この事件をヘイトクライムの可能性があるとして真相究明や再発防止を呼びかけている。

それ以外にも、昨年1月から神奈川県の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」に対して、在日コリアンを対象とした脅迫が断続的に行われているなどの事例もある。
これ以上のヘイトクライムを止めるためには、社会が強いメッセージを打ち出すことが必要だ。
しかし放火事件のニュースに関するネットのコメント欄では、「放火されたくなければ国に帰ればよい」「放火はよくないが犯人に同情する」といったヘイトスピーチが並ぶ。
こうしたヘイトコメントも、当事者を傷つけている。

<平和祈念館に展示予定の資料も>

8月に放火されたウトロ地区は、戦争中に日本軍の飛行場建設のために雇われた朝鮮人労働者の飯場跡が元になっている。
戦後の混乱の中で失職しそこに放置された彼らは、生き延びるためにそこに集落を形成し居住権を主張した。
同地区に住む在日コリアンは、徴用によって連れてこられた者や、経済的理由で植民地朝鮮から渡ってきた者など、複数のルーツをもつ。

2022年4月には、こうした歴史も踏まえた「ウトロ平和祈念館」が開館する予定なのだが、
火災で燃えた資料の中にはそこに納められるはずの資料もあったという。放火犯もそれを狙っていたわけではないだろうが、
この許されざる犯罪行為の本質の象徴としては重要だろう。差別は歴史の破壊でもあるのだ。

(中略)