かつて売春宿が建ち並び、現在は「アートのまち」として活用が進む横浜市中区黄金町の周辺住民らが、都市計画法に基づく
「地区計画」と呼ばれる制度を使って、売春宿の根絶を目指す取り組みを続けている。狭いワンルームタイプの賃貸物件が
違法風俗の温床となることに着目し、新築マンションの構造に制限をかけたい考えだ。地区計画には地権者の多数の同意が必要なため、
説明会を開くなどして理解を求めている。

 同地区の京急本線日ノ出町―黄金町間の高架下周辺には、かつて約260の売春宿が「特殊飲食店」として建ち並んだ。
県警が2005年に「バイバイ作戦」と称した一斉摘発を決行し、売春宿は一掃された。その後、市が空き家となった建物を借り上げて
改装した部屋にアーティストを呼び込み、官民一体で「アートのまち」としてイメージ一新に向けた街づくりを進めてきた。

 地区計画の制定を求めているのは、初音町を含む地元住民らがつくる「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」。
同会は一帯の街並みを昔の光景に戻さないようにと、防犯パトロールや子供向けのイベント開催などソフト面のまちおこしに取り組んできた。
ハード面の対策として、かつての売春宿がワンルームタイプの賃貸物件を利用したことを踏まえ、マンションなどの共同住宅の
1戸あたりの面積や規模を制限する内容を盛り込んだ地区計画の策定を市に要望している。

 現在もこの一帯には、市の要綱に基づく「街づくり協議指針」がある。この指針は、商業施設などは建物の低層部に設けることや、
マンションはワンルームタイプを避けてファミリータイプとすること、1戸あたり30平方メートル以上とすることなどを求めている。
しかし、指針に法的強制力はなく、違反しても罰則はない。同会によると、実際に地区外のデベロッパーや不動産業者が建てた
マンションは面積30平方メートル以下のワンルームタイプがほとんどだという。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/7381c966c47d55513e47557350d5c9e04d73041e