フランス政府が自衛隊と仏軍の共同訓練を行いやすくする「円滑化協定」の締結を日本政府に打診してきたことが
5日、分かった。日本政府が交渉に入ればオーストラリア、英国に続く3カ国目。5月に仏軍は自衛隊、米軍と
日本で初めて陸上部隊の本格的な訓練を実施しており、中国の覇権主義的行動を抑止していくため、仏政府は
欧州勢で英国と並び、日本との安全保障協力を活発化させる意志を鮮明にした形だ。

円滑化協定は自衛隊と他国軍部隊の共同訓練や共同運用のために法的・行政的な手続きを相互に改善する
法的枠組みだ。相手国を訪問中の部隊関係者の犯罪に対する刑事裁判権を明確化したり、
装備や物資の持ち込みに関税などを免除したりすることを規定する。

協定を締結すれば部隊が行き来しやすくなり、共同訓練をより円滑に行うことが可能になり、2国間の
安保協力の強化につながる。協定という枠組みを設けることで、共同訓練を活発化させる構えをメッセージとして
対外的に発信する意義もある。

安保分野で2国間の協力向上に資する枠組みとしては@物品役務相互提供協定(ACSA)A情報保護協定
B防衛装備品・技術移転協定−もある。日本が3つとも協定を締結しているのは米国とインドを除けば仏英豪だけで、
円滑化協定の締結交渉もそうした流れに沿うものだ。

仏軍は5月、海軍艦隊ジャンヌ・ダルクが佐世保港(長崎県)に寄港する機会を生かし、陸軍が陸上自衛隊、
米海兵隊との共同訓練を宮崎県と鹿児島県にまたがる霧島演習場で行った。艦隊が次回以降も日本に
寄港する際には共同訓練を定例化する見通しで、戦闘機の日本への訪問も予想されている。

https://www.sankei.com/article/20211205-O3IA75UI75I35LY7UY65JOJIHE/