自動車ドアキー大転換、メカからスマホへ 「鍵」は生き残れるか
2021.11.24 日経Automotive

自動車のドアを施解錠する鍵が大きく変わろうとしている。
従来はユーザーが物理的な“メカニカルキー”を持ち歩き、直接鍵穴に差し込んだり、鍵のボタンを押したりして施解錠するのが一般的だった。
近年は鍵を携帯して車両に近づくだけで施解錠できる“スマートキー”が普及しているほか、新たにスマートフォンのアプリケーションで施解錠するデジタルキーも登場。
これを機に米Appleや同Googleといった巨大勢力が自動車の鍵に参入してきた。

スマートキーではデンソーやドイツContinentalが世界市場で大半のシェアを握る。
だが、デジタルキーの搭載が本格化すれば、従来の鍵メーカーは異業種にシェアを奪われかねない。
こうした中、メカニカルキーで国内最大手の東海理化が異色の戦略でデジタルキー事業に挑み始めた。

トヨタ自動車向けのメカニカルキーではほぼ100%、同社向けのスマートキーでもデンソーに次ぐ約3割のシェアを持つ東海理化。
今後はデジタルキー事業注)で2024〜25年に約40億円、28〜30年に約100億円の売り上げを目指す。
スマートキーは今後も拡大の余地が残るものの、メカニカルキーは売り上げの減少が予想されるからだ。

■ターゲットは既販車市場
実は同社が当面狙うデジタルキー市場は新型車向けではない。むしろカーシェアやレンタカー向け、社用車・公用車の管理用途である。
こうした既販車を利用する事業者に利用を促す。
新型車ではなく既販車からデジタルキーの導入を進めるのは、新型車(純製)への採用は敷居が高いだけでなく、「今後5〜10年は新型車よりも既販車の方が市場は大きい」ためだ。
すべての車両の鍵がデジタルキーに置き換わるのは「30年ごろ」と予想する。
新型車の鍵がすべてデジタルキーに置き換わる前に、既販車向けのデジタルキー事業を育て、競争力を維持する。「DXの需要も含めて今が好機。自治体や企業に売り込んでいる」。

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