病院汚職を巡る記事、毎日新聞に賠償命令 名古屋地裁

 愛知県瀬戸市の公立陶生病院の臨床試験(治験)を巡る汚職事件で、第三者供賄罪で有罪が確定した男性医師が新聞記事で名誉を毀損(きそん)されたとして、
毎日新聞社に慰謝料など三百三十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十九日、名古屋地裁であった。
岩井直幸裁判長は「記事に真実性は認められず、男性の社会的評価を低下させた」と、同社に百十万円の支払いを命じた。

 判決によると、毎日新聞は二〇一七年五月十九日付の朝刊で、男性が「製薬会社からの治験委託料の一部を私的流用していた」「会議費の名目でキャバクラを頻繁に利用した」などとする記事を掲載した。

 岩井裁判長は記事について「取材相手が明確に述べたものではなく、記者が得た情報をもとに推測したにすぎない。病院や製薬会社への裏付け取材をしていない」と指摘。
「立場を悪用して公私混同する人物との印象を与えた」と述べ、毎日新聞側の「記事は男性の名誉を毀損しないし、重要部分について真実だ」とする主張を退けた。

 毎日新聞社は「主張が認められず、遺憾だ。判決の内容を検討し、今後の対応を決める」とのコメントを出した。

https://www.chunichi.co.jp/article/356723