10月の土曜日の午後、東京・池袋の公園に数百人の行列ができている。
折りたたみ椅子持参でスポーツ紙を読む高齢者に交ざって、大きな袋を肩に掛け、スマホをいじりながら並ぶ若者の姿もチラホラ見られる。
彼らが待っているのは無料で配られる弁当だ。

 行列の前方にはオシャレな服を着た若い女性も並んでいた。
都内の大学に通う福島出身の女性はコロナ禍で居酒屋のバイトがなくなり、ポスティングのアルバイトで生活費を稼いでいると話す。

「旅館で仲居をしていた母の仕事がなくなってしまったのに、仕送りを増やしてもらうわけにはいかないから、何とか自分で働かないと。
でもなかなかバイトも見つからない。節約のため、ここでお弁当を配る日は毎回並ぶようにしているんです。
初めて並んだときはちょっと怖かったけど、もう慣れたから全然平気」

 午後4時過ぎ、弁当が配られ始めると列は一気に進んでいく。この女性は弁当を受け取るや否や、猛ダッシュで再び列の最後尾に並んだ。
記者も慌てて追いかける。

「弁当が余れば2回目の人にもくれるから」という。しかし、残念ながらこの日は途中で品切れ。

「早くこんな生活から脱出したい。コロナが早く収まって、またバイトに復帰できるのが一番の望みかな。
選挙で給付金や補助金を出すって言ってるけど、どうせまだずっと先のことでしょ。今が大変なんだから、今助けてほしいのに」

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