新潟5区の米山隆一氏は妻・室井佑月の“むちゃ振り”で好感度アップ
10/28(木) 9:06
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日刊ゲンダイDIGITAL

【2021衆院選 激戦選挙区ルポ】#3

 ■新潟5区
 米山 隆一 54 無新
 泉田 裕彦 59 自前
 森  民夫 72 無新

 女房の尻に敷かれているオトコは好感が持てる。信頼できるように思う。度量の大きさの表れと感じるからなのかもしれない。

「それっておかしいよね! ヨネちゃんはどう思うの!」

「ああ、うん、だからそれはね……」

 長岡市内のホテルで23日に開かれた個人演説会で、野党統一候補の米山隆一氏は、妻で作家の室井佑月から唐突に投げかけられる質問に苦笑いで答えていた。ズバズバと切り込む妻をにこやかに受け止める夫。宮川大助・花子の夫婦漫才のような掛け合いに、会場がドッと沸く。

 地元では知られた3人の首長経験者が1議席を争う激戦区。岸田内閣で国交政務官に就任したばかりの泉田裕彦氏は、新潟県知事を3期務めた。森民夫氏は地元の長岡市長を5期務め、全国市長会会長も歴任している。

 米山氏も県知事の経験者だが、女性スキャンダルで辞職、辛酸をなめた。それでも有権者は米山氏に期待する。この日の午前9時、南魚沼市にあるJAの支店には、米山氏の演説を聞くために30人を超える人たちが集まった。足が不自由なのだろう。電動のシニアカーで駆けつけた高齢者も皆、「まずはアベノミクスをやめることが大事なんです」という米山氏の言葉に耳を傾けていた。

 米山氏の演説は飾り気がない。身ぶり手ぶりも控えめだ。個人演説会で登壇した金子勝・立教大大学院特任教授は、熱のこもった演説で聴衆をぐいぐい引きつける。それに比べて米山氏の語り口はおとなしい。だが抑揚のない朴訥とした感じがまた、信頼の醸成につながっているようだ。室井のむちゃ振りも素の夫の良さを引き出す。街頭でもホテルでも、米山氏の訴えにうなずく有権者の姿があった。

苦戦の国交政務官

 地元メディアの情勢調査によるとリードしているのは米山氏だ。議席を守りたい泉田氏は、「与党だから政策を実現できる」と訴え、通産省(現経産省)で2期先輩の西村康稔・前経済再生相も応援でマイクを握る。兼務のコロナ担当大臣としてテレビで顔を売った一人。それでも泉田氏が苦戦を強いられているのは、支持層がかぶる森氏が健闘しているからだ。

 森氏の陣営は「新人で無所属で72歳。これほど不利な候補者は他にいない」と自虐的だが、本人は「バイデン大統領はもうじき79歳、トランプさんは75歳、私はまだまだ若造です」と意気軒高。「政策は霞が関が作るもんじゃない。現場の声を聞き、問題を解決していく積み重ねが政策だ」との訴えも力強い。結果を左右するキーマンとなりそうだ。 

(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea1e4b8d736d12b68c6fbf58998e5f93962d0965