愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」で、昭和天皇の肖像を燃やすような動画作品が展示され、精神的苦痛を受けたとして、大阪府内在住の主婦3人が14日、トリエンナーレの実行委員会長を務めていた大村秀章・愛知県知事らに慰謝料を求め、大阪地裁に提訴した。代理人弁護士が取材に対し、明らかにした。

訴状によると、トリエンナーレは大村氏が会長、ジャーナリストの津田大介氏が芸術監督を務め、令和元年8月から開催。
企画展の一つの「不自由展」に展示された動画作品には、コラージュ画に使われた昭和天皇の肖像をガスバーナーで燃やし、灰を足で踏むようなシーンが再三登場した。

原告側は、こうした表現行為は、憲法1条で日本国の象徴と位置づけられる天皇、ならびに国民に対する「ヘイト行為」にあたり、違法だと主張。地方公共団体である愛知県をはじめ、大村氏と津田氏が作品を展示し、違法行為を助長・支援したことは許されないと訴えた。原告3人は1人当たり50万円、計150万円の慰謝料を求めている。

原告の一人で大阪市の主婦、山口文江さん(53)は「動画にいたたまれない思いが募り、提訴に踏み切った」とコメント。原告代理人の稲田龍示弁護士は「ヘイト行為は認められず、作品への抗議を『表現の自由の侵害』とするのは的外れ。これ以上侮辱を許さないよう全国で声を上げるべきだ」と強調した。

「不自由展」をめぐっては、政治色の強い作品が物議を醸し、開幕3日で中止に。約2カ月後に再開され、閉幕まで7日間だけ公開された。その後、作品の巡回展が行われたが、今年7月に大阪市中央区の大阪府立労働センター「エル・おおさか」で開かれた展示会にも抗議が相次いだ。

https://www.sankei.com/article/20211014-AQZAZE3CLNLWLAM3HJODZT5ZU4/
https://youtu.be/WSM9PSOsOFY