若い世代を中心に、人口減少が止まらない神戸市。対照的に、人口を増やしているのが福岡市だ。2015年の国勢調査で神戸を抜き、積極的な中心部開発や企業誘致で勢いに乗る。
違いはどこにあるのか。31日投開票の神戸市長選を前に、福岡との比較から神戸の将来を考える。

「天神ビッグバン」で勢い増す福岡市

 「最近の福岡の勢いはすごい。神戸市も、中心部への集中投資で成長をめざさないと差は開く一方だ」。ある神戸市幹部はそう危機感を漏らす。

 福岡市の中心部・天神では、ビルの建て替えが相次いで計画されている。9月30日には、地上19階建ての天神ビジネスセンターが完成。
ジャパネットホールディングスが主要機能を東京から移すなどし、計約5千人が働く。市の再開発構想「天神ビッグバン」で高さや容積率の規制緩和を受けた第1号だ。

 市は天神で26年までに約70棟のビルが建て替わると見込む。オフィス仲介大手の三幸エステートによると、福岡市のオフィス空室率は近年1〜4%程度で推移。
今関豊和チーフアナリストは「好立地をめざすIT企業などが目立ち、新築ビルの需要は底堅い」と話す。

 天神ビッグバンの狙いの一つは、オフィス機能の強化による新たな雇用の創出だ。九州経済調査協会の小柳真二研究主査は
「福岡市は人口増の一方で、働く場が追いついていなかった」と指摘する。15〜20年の人口増減率は政令指定都市で最も高い4・9%。
それでも、「魅力的な就労機会の不足で人材が東京に流出する構造は続いている」という。

 市は企業誘致に力を注ぎ、成長分野の企業や本社機能の誘致数が8年連続で50社以上だったとアピール。6割をIT関連企業が占め、アニメ、ゲームなども強みとする。
アジアとの近さを前面に出し、国際金融都市を目指す取り組みも進めている。担当者は「都市間競争を勝ち抜くには、さらに誘致に力を入れないといけない」と気を引き締める。

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