神奈川県横須賀市で、大規模な石炭火力発電所の建設が着々と進んでいる。建設しているのは、東京電力フュエル&パワーと中部電力が出資する『JERA』(ジェラ)という会社だ。

石炭火力発電所は地球温暖化の原因とされる温室効果ガスを大量に排出し、その代表的なものは二酸化炭素(CO2)である。

横須賀市といえば小泉進次郎氏のお膝元だ。石炭火力に国際的な批判が高まる中、前環境大臣の選挙区で発電所の建設が堂々と行われているのだ。
しかも環境大臣当時の小泉氏は、建設を問題視するどころか全くのノータッチ。知らぬ存ぜぬを貫いている。

小泉氏は2019年9月の大臣就任記者会見で、記者から「東京電力にアセスの手続き(環境アセスメント)は終わっているけれども、やめたらどうだと言うべきではないか」と問われたが、「横須賀は、いいとこですよ」と意味不明な地元愛を強調して煙に巻いた。

こうした歴代環境大臣の姿勢と比較した場合、小泉氏の在任中に温暖化政策が後退したといわれても仕方がない状況になっている。

NPO法人『気候ネットワーク』東京事務所の桃井貴子氏は、「反対運動をしている地元の市民団体が請願に行っても、小泉氏は会ってくれない」と話す。

「若者や子供たちには会っているようですが、『フライデーズ・フォー・フューチャー(FFF)横須賀』という若者の団体が、建設中止を求める手紙190通を集めて小泉氏に渡したときも
、記者会見で『横須賀にもFFFが誕生したことはうれしい』と言っただけで、建設中の発電所には触れなかったようです」

世界と公約したハズの温室効果ガス削減

小泉氏が思い切った「脱石炭火力」に舵を切れないのは、地元経済に配慮していることも考えられる。

「横須賀市は当初から、積極的に誘致する姿勢だった。固定資産税を期待したのかもしれないが、石炭火力は『座礁資産』になるとよく言われている。この気候変動危機の時代では、国際社会の批判の中で止められてもおかしくない。そうなると市には大きな負担だけが残ります」(桃井氏)

菅義偉前首相は4月の気候変動サミットで、日本の2030年度の温室効果ガス削減目標を「13年度から46%削減し、さらに50%の高みに向け挑戦を続ける」と宣言。これは世界との公約だ。

建設中の石炭火力発電所のCO2排出量を聞くと、問題の深刻さが際立つ。

「横須賀石炭火力発電所のCO2排出量は年間726万トン(予定)とされ、これは横須賀市の年間排出量189万トン(17年度)の3.8倍にも相当する。即刻、中止させるべきです」(早稲田氏)

この石炭火力発電所を巡っては、19年5月に周辺住民らが国の環境影響評価の取り消しを求めて、東京地裁に提訴しており、現在も係争中だ。


小誌は、19年国連気候行動サミットで「セクシー」と述べた小泉氏の事務所に、発電所に関する質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。

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