半導体「10年戦略」策定へ 技術変革、日本に勝機―自民・甘利氏インタビュー

 自民党の半導体戦略推進議員連盟会長を務める甘利明幹事長は時事通信のインタビューに対し、経済安全保障の観点から重要性が増す半導体について、今後10年程度を見据えた国家戦略の策定に着手したと明らかにした。
甘利氏は「半導体は大きな技術変革のサイクルに入ってくる。きちんとソリューションを提示できるような設計をすることが大事で、日本に勝機はある」と強調した。

 インタビューは9月13日に行った。甘利氏は日本の半導体政策について「自前調達主義で、零細商店が並んでいるのと同じだ」と指摘。
設計開発や製造を別々の企業が担う「水平分業体制」が主流の国際的な潮流から大きく水をあけられたのは当然だとの認識を示すとともに、「戦略もなく『日の丸半導体』の復活と言って金だけ突っ込んでも焼け石に水だ」と切り捨てた。

 ただ、製造装置や素材、センサーなどは日本企業にまだ強みがある。甘利氏は、それらの強みをベースに、海外企業との連携などを戦略的に進めるべきだとの考えを示した。
また、半導体が「微細化」の追求から「積層化」に変わりつつある現状などを挙げ、「主役が替わるサイクルがあるはずで、それが今だ」と語った。

 半導体大手キオクシアの買収報道が取り沙汰されている点については「日米連携でも全てアメリカに行ってしまえば日本は空洞化する」と懸念を表明し、日本に拠点を置く必要性を示した。

 また、データ駆動型社会に変化する中で、根幹となる半導体が安全保障上のリスクに大きく関わる点を強調し、「基本的な価値観が引き続き国際標準となる世界にする必要がある」と言及。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済の勢力図が変化し、新たな国際秩序が形成されつつあるとして、日本の積極的な関与の必要性を訴えた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021100100883&;g=eco