20代がFIREしたい本当の理由。目指すのは「早期退職じゃない」
りょかち [ライター/コンテンツプランナー]Sep. 17, 2021, 07:30 AM

彼の話によれば、研究の世界において、金銭的な制限を持ちながら研究をしていると、すぐに結果が出て利益になるような研究をせざるを得ない環境に追い込まれるケースがあるという。

反対に、金銭的な問題を考えずに済む環境で研究ができている人はその分、結果が出れば大きな価値につながる、時間がかかるが本質的な研究を続けやすいということがあるようだ。

この話は想像に難くない。こういった葛藤は、研究者だけに留まらないからだ。

例えば私もライターの端くれとして、幅広い領域の知識の習得と、時間軸の長い取材が必要な原稿に取り組みたいと思うこともある。しかしそれを実践することはない。

なぜなら、平日のほとんどは、(自分のやりたい仕事をしているとはいえ)生活費のために、周りから求められる、利益を短期間で得られる仕事をすることに追われている。そういった利益につながらない夏休みの宿題のような記事に取り掛かっていては「生活できない」と後回しにしているからだ。

近頃は、外出を規制されたことによってできた余剰資産を、こういった “人生の夏休みの宿題” を取り組むために使う人も増えているように思う。

(中略)

私の周りの人たちが真面目な人たちが多いのは事実かもしれない。しかし「経済的事情を乗り越えられるならばすぐにでも挑戦したいことがある」という人は多いのではないだろうか。

あるいは言い方を変えるならば、罪悪感を感じつつも経済的事情で、本当に時間をかけて取り組みたいことを、後回しにしている人も多いのではないだろうか。

そうやって、目を背け続けてきた夢を叶えられる方法として、FIREがこんなにも多くの人の注目を集めているのではないかと思うのだ。「FIREは仕事を辞めて遊び呆けたい人がするもの」という認識は、あまりにも解像度が低いと思うのである。

https://www.businessinsider.jp/amp/post-242527