後退するアメリカーー米中首脳電話会談で「一つの中国」を認め、ウイグル問題を避けたバイデン

 9月9日、バイデンは習近平に電話を掛けて「衝突を避けたい」旨の意向を伝えたと日本では報道されているが、バイデンは本当は何と言ったのか、何を言わなかったのか。米中双方の公式報道から読み解く。

 では、習近平は何を言ったかを先ず見てみよう。
 習近平:
 1.(8月29日にルイジアナ州で起きた)ハリケーン「アイーダ」に関するお見舞いの言葉を述べた(バイデンは謝意を表した)。
 2.ある時期以来、アメリカの対中政策は中米関係に深刻な困難をもたらしており、これは両国人民の根本的な利益と世界各国の共同利益に反する。
 3.中国は最大の発展途上国で、アメリカは最大の先進国だ。したがって中米両国が互いの関係をうまく処理できるか否かは、世界の未来と命運を左右する大きな問題であり、両国が良い解答を出さなければならない世紀の問題である。中米が協力すれば、両国と世界は利益を得ることができる。中米が対抗すれば、両国と世界はともに苦しむことになる。米中関係は、「正しいかどうか」という多肢選択式の問題ではなく、「どうすれば正しいか」という必答式の問題だ。

 それに対してバイデンは以下のように応じた。
 バイデン:
 一、世界は急速な変化を遂げており、米中関係は世界で最も重要な二国間関係だ。米中がどのように相互作用するかは、世界に大きな影響を与える。
 二、米中両国が競争のために対立し衝突に陥るなどという、いかなる理由も(必要性も)ない。
 三、アメリカは一度も「一つの中国」政策を変えようと思ったことはない。
 四、アメリカは中国と、より率直な交流と建設的な対話を行いたいと心から望んでいる。双方が協力できるような重点事項や優先領域を特定し、誤解や誤判断あるいは予想外の衝突を避け、米中関係を正しい軌道へと戻したいと強く願っている。
 五、気候変動などの重要な問題について中国とのコミュニケーションと協力を強化し、より多くの合意を得られることを期待している。

続く
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210911-00257686