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韓国の経済発展は目覚ましい。日本の停滞を尻目に着々と成長し、ひとり当たりGDPでも日本に迫り、購買力平価基準では日本を超えてしまった。半導体に限らず、液晶、有機EL、さらに今後の自動車産業の命運を左右する車載用電池でも中国と並び、日本メーカーをあっという間に抜き去った。

製造業だけでなく、コンテンツ産業でも世界を驚かせる成長を遂げている。アイドルグループBTSが米国のアルバムヒットチャートで年間3枚も首位となったのは、外国人アーティストでは、ビートルズ以来の快挙である。

一方、高官は日本の嫌韓ムードと似た問題が韓国にあると冷静に指摘した。「韓国が経済力で日本を追い越した」というニュースばかりが報道され、「韓国人は実体以上に"韓国はすごい"と信じ込んでいる」という。

実は、これは大きな問題だ。この国民感情を踏まえれば日本がいくら経済力で圧力を加えても、韓国が妥協するはずがない。次期大統領がリベラルな文在寅(ムン・ジェイン)氏から保守系の人物に変わっても、韓国が日本の経済力を軽視し始めている以上、そう簡単に状況は変わらないだろう。

ただ、日韓が角を突き合わせているより、協力することで双方の外交や経済パワーを大きくする道を探ったほうが建設的だ。文在寅氏は韓国における終戦記念日である光復節(8月15日)に、対日批判を抑えて「対話の扉は常に開けている」と述べ、関係改善のサインを送った。日本もこれに応える道はある。

例えば、日韓主導で台湾も巻き込み半導体最強連合をつくる。その上で米中対立の狭間で翻弄(ほんろう)されるASEAN(東南アジア諸国連合)にも協力関係を拡大すれば、強力な経済連合となり、米中に対してより強い立場に立てるだろう。

日韓関係が正常化してから、56回目の夏。両政府には互いに協力して世界での影響力を高める方途を示してほしい。

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