政府は海外渡航者向けに発行している新型コロナウイルスワクチンの接種証明書を、国内の商業施設などで積極的に活用する方針を固めた。現在書面で発行する証明書について、年内にもデジタル化を実現させた上で国内利用に踏み切る。感染抑止と経済活動再開の両立につなげたい考えだ。

【図表】ワクチン副反応、予想以上に年代間で差

 加藤官房長官は26日の記者会見で、「年内をメドにデジタル化を実現できるよう検討を急いでいる。デジタル化ができれば、国内でも活用することは十分考えうる」と述べた。

 菅首相も25日の記者会見で、接種証明書の飲食店や旅行、イベントでの活用に言及し、「日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討する」と強調した。

 接種証明書には、氏名や生年月日、旅券番号、接種日、接種したワクチンの種類などが記載される。国内で活用されれば、ホテルや飲食店などで、提示を条件にサービスや割引を受けられるようになる見通しだ。

 これまで政府は「接種の有無によって不当な差別的取り扱いを行うことは適切でない」(加藤氏)などとして、国内利用に慎重だったが、経済界からは活用に強い要望が出ていた。

 経団連は6月、接種証明書の早期活用を求める提言書を政府に提出。活用例として飲食代金などの割引や、イベント入場時の制限緩和、介護施設の面会制限の緩和などを挙げた。

 政府は、接種証明書を持たない人が不利益を被らないよう運用指針を作成する方針だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3f2e32fe3076510f214d0f271d621234bf588ae3