アングル:アフガン20年「価値はあったのか」、米軍に広がる苦悩
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首都ワシントン郊外のペンタゴンで働く軍人と文民職員は2万人余り。そこには米史上最長の戦いとなったアフガニスタン戦争を想起されるものがあちこちにある。

「果たしてそれだけの価値があったのか」。イスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧してからというもの、米軍幹部らは自問自答している。米国が金を出し、訓練をしたアフガン政府軍は瓦解し、非戦闘員の退避に手間取り、アフガンに残された米国への協力者はタリバンから復讐を受けるかもしれない。


<アフガンへの思い>
兵士が派遣された場所にきずなを感じるのは珍しいことではない。そこが戦場ならなおさらだ。

2018年12月、トランプ大統領がシリアからの撤退を発表すると、過激派組織「イスラム国」の撲滅という目的をほぼ達成した駐留米軍の間には強い不満が広がった。議会や政府高官からも、連携していたクルド人勢力を見捨てる上に、ロシアやイランのシリアに対する影響力を抑えられなくなるとの批判が噴出した。

ただしシリアと異なり、アフガニスタンでは一世代分の米兵が影響を受けた。当初はタリバンと過激派組織アルカイダの駆逐が目的だったが、その後は国造りに広がった。派遣された兵力は80万人、2400人が死亡し、負傷者は2万人を超えた。

2週間前、タリバンが政府軍の抵抗をほとんど受けずにアフガン国内を席巻しているという情報が流れ始めたとき、米国防総省の関係者は衝撃を受けた。

さらにバイデン大統領が、身に危険があるアフガン人について、国外退避を望んでいない人たちもいると発言すると、省内ではその共感力のなさに怒りの声が広がった。米国人とアフガン人協力者の待避作戦が遅れていることにもいらだちが募っている。

この1週間涙をこらえられなかったと、複数の米軍関係者が打ち明けた。ある関係者は、自身が過ごした基地が乗っ取られたとの報告を読み、別の関係者は、タリバンに殺すと脅されているので助けて欲しいというメッセージをアフガニスタン人から受け取った。