中国の習近平国家主席は、新型コロナウイルスに関する国際フォーラムで、今年中に世界に対して
20億回分のワクチンを提供することを明らかにした。ワクチン支援を通じて国際的な影響力を拡大させる
考えとみられる。だが、感染力の強い「デルタ株」が猛威を振るう中、中国製ワクチンの接種が進んできた
東南アジアのタイとインドネシアが欧米製を推奨し始めるなど、中国製の有効性を疑問視する動きも出ている。

 タイ政府は1回目に科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製を接種した人に対し、2回目は
英アストラゼネカ製に変更する方針を表明した。シノバック製で2回の接種を終えた人にもアストラゼネカや
米ファイザー製を追加投与する。タイでは4〜7月に計約67万7000人の医療従事者が優先的に
シノバック製の2回接種を受けたが、618人がその後に感染、看護師1人が死亡した。同国政府は変更や
追加投与の理由について、デルタ株への免疫を高めるためと説明しており、中国製の有効性には
触れていないが、事実上疑問を示した形だ。

 インドネシア政府も、2回接種済みの医療従事者に3回目として米モデルナ製の追加投与を始めた。
同国の医師会によると、1月以降に医師20人が1回以上接種していたにもかかわらず新型コロナで死亡した。
一部がシノバック製を受けていた。

 シンガポールではシノバック製を承認していないが、民間診療所での希望者への接種は認めている。ただ、
デルタ株への効果は未確認としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d605cb038647146f07ba6cc18c730f0181d5015e