(長い記事なので抜粋)
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8月1日午後7時20分すぎ、日本に住むベラルーシ人から電話が入りました。

「いますぐ空港に向かってください。ベラルーシの選手が連れ去られそうにな
っています」

私は、すぐに羽田空港へ向かいました。実はこの一年、政権に対する市民の抗
議活動が続くベラルーシの取材を行っていました。

私が国際線ロビーに到着したのは7時50分ごろ。チマノウスカヤ選手は複数の
警察官や空港にいた五輪のボランティアスタッフとともにいました。

しかし警察官は「彼女が保護を求めているようだが、本当に必要なのかわから
ない」と話していました。

聞くとチマノウスカヤ選手がチェックインカウンターに並んでいた時に、警戒
に当たっていた警察官に声をかけ、助けてほしいと頼んできたそうです。

他の選手たちと様子が違っているわけでもなく、警察官は「どんな危険にさら
されているのかわからない」とのことでした。

私がチマノウスカヤ選手に、英語でベラルーシの取材をしてきたジャーナリス
トであることを伝えると、すぐに彼女は事情を詳しく話し始めました。

真っ先に伝えたのは、“自分を空港まで連れてきた2人組の男はコーチを装って
いるが、自分のよく知らない人間である”こと、“彼らと一緒にいるのは身の危
険を感じるため遠ざけてほしい”ということでした。

私と彼女のやり取りをそばで見ていたその2人組の男の1人は、問題ないから早
く搭乗手続きを取ろうと彼女に勧めていました。

私が警察官に彼女の伝えたことを話すと、警察官は彼女の周りを取り囲んで男
たちと距離を作りました。男たちは出国ゲートの方へと姿を消しました。

男たちの姿が消えるとチマノウスカヤ選手は少し落ち着きを取り戻し、詳しい
事情を語り始めました。
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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210809/k10013185171000.html
https://www3r.nhk.or.jp/news/r/html/20210809/K10013185171_2108091401_2108091937_01_05.jpg