■ 選手村への不満を口にしているのはロシア選手だけじゃない

 極め付けは、選手村の問題だ。ロシアの選手から選手村の部屋には冷蔵庫やテレビが設置されておらず、4〜5人が生活しているのにトイレも1つしかないという苦情が上がっていると各メディアで一斉に報じられた。

 この一件について海外メディアから指摘を受けた組織委側は当初「初耳」として明確な返答を避けていたが、後日「基本的に冷蔵庫とテレビはレートカード(有償レンタル)の対象」と説明し、ロシア側から発注がなかったことを明かした。

 ただ、そうだったとしても当初の時点で答えに窮した組織委幹部の狼狽ぶり≠見る限り、やはり組織委は大事な報告や重要な事項が上層部にまで行き届いておらず機能不全に陥っていることをあらためてうかがわせた。

 組織委関係者の1人は苦渋に満ちた様子で、このように本音と見解を打ち明ける。

 「正直に言えば、この問題はロシアから出た話だったので比較的早く火消しにつながった感がある。ロシアは今大会でドーピング問題の影響により、潔白が証明された選手のみ参加となっている。加えて“北方領土問題”や“東側の国”というイメージも手伝ってネット上でも影響力の強い、いわゆる【“ネトウヨ”】による『そっちが言うな』などといったトーンの書き込みが圧倒的に目立った。

 ただ、これが仮にアメリカや欧州の国々からブーイングを浴びせられたとなったら、もっと大きな問題に発展していた可能性は十分ある。

 しかもロシアは国としての参加が認められていないから、レートカードのシステムについての通達が他国代表と違って曖昧になっていたことも考えられるし、こちら側にも反省しなければいけない面があるかもしれない。

 そう考察すれば単に『ロシアから申請がなかった』の一言で済ませてしまうのは、早計だと思う。テレビはともかく、そもそも湿気の多い日本の酷暑でなぜ冷蔵庫を各部屋に常設としなかったのかは個人的に甚だ疑問だ。何よりも“アスリートファースト”とうたっていながら、ロシアの選手たちだけではなく他国代表の選手たちからも選手村の評判が悪いのは事実。これは如何ともし難い」


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https://news.yahoo.co.jp/articles/ee310a5f1ce599db763c8dac8a865f1678eb7bdd