静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害で、崩落地点に盛り土をした神奈川県小田原市の開発業者の元社員が16日までに取材に応じ、
残土や産業廃棄物の投棄は「(同社の)代表の指示だった」と証言した。
 開発業者に対しては県や市が、盛り土への産廃混入などで複数回の行政指導をしていたことが判明している。
 元社員によると、崩落地点を含む一帯の宅地造成時に削った土や、
熱海市日金町で2009年ごろ行われたホテル社員寮の解体工事で出た産廃を崩落現場に捨てていたという。
「コンクリート片、タイヤ、ガラス、プラスチックなどが足の踏み場もないほどむき出しになっていた」と話す。
 宅地造成と解体工事は、山梨県に登記上の本店を置く建設会社に対し、開発業者などが発注。
建設会社の当時の現場責任者は元社員に、開発業者代表の男性から投棄の指示を受けたと話したという。
 元社員は、開発業者が土地を購入した目的については、「宅地を造成して分譲するためだった」と話し、廃棄物投棄が目的ではなかったと強調した。
「造成工事を進める中で、崩落現場の谷に土を捨て始めたのが始まり。同時期にやっていた解体工事で出た廃材も捨ててしまえとなったと思う」と振り返った。
 元社員によると、当時の現場責任者とは連絡が取れなくなっている。開発業者代表の男性は、代理人を通じた取材の申し込みに16日まで回答していない。

元社員「代表の指示」 前所有者の開発業者―崩落現場で産廃投棄・熱海土石流
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021071600698&;g=soc