6次元スカラー量子電磁力学において、
ファインマン図による摂動計算と
有効ポテンシャルの計算により、
スカラー場の有限質量が生成されることを
世界で初めて示すことに成功しました。

本研究で考察しているフラックスコンパクト化された理論は、
究極の理論と期待されている超ひも理論の
低エネルギー有効理論としてしばしば登場し、
超ひも理論に基づいた素粒子模型構築に対しても、
新しいアプローチを提供し絶大な波及効果が期待されます。

大阪私立大学
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2021/210706-3

大阪市立大学(大阪市大)は7月6日、
磁場が入った余剰空間を小さく丸めた(コンパクト化された)高次元理論において、
高次元ゲージ場の一部である「スカラー場」の質量に対して
補正を与える運動量積分の発散構造を解析し、
スカラー場の有限質量を生成する相互作用を分類したところ、
スカラー場の有限質量が生成されることを示すことに成功したと発表した。

標準模型を超える新物理の構築を目指す研究として「スカラー場」に着目したという。
スカラー場は、余剰空間の並進対称性が自発的に破れることにより生ずる
南部・ゴールドストン粒子(NG粒子)であり、
質量が生成されないことが知られているが、
自然界には質量のないスカラー粒子は存在しないことから、
このスカラー場が実在するためには質量を生成する必要がある。
その一方で、余剰空間の並進対称性が相互作用によりあからさまに破れると、
NG粒子であるスカラー場の質量が生成されることが知られていたという。

スカラー場の質量に対する量子効果を与える運動量積分の発散構造を解析。
その積分が有限になる条件を導出することを目指し計算を進めていった結果、
スカラー場の有限質量が生成することが示されたとする。

現在確認されている素粒子の中で、
唯一のスカラー粒子がヒッグス粒子だが、
今回の結果からは、高次元ゲージ場由来のスカラー場を
素粒子標準模型のヒッグス粒子と同一視できる可能性があるという。
また、スカラー場の質量を得るために導入された相互作用が何らかの機構によって、
余剰次元がコンパクト化される
新物理のエネルギースケールとは別の
TeVスケール付近に生成されると、
パラメータの不自然な微調整なしに
ヒッグス粒子の質量を予言できるともしている。

加えて、標準模型では予言できない
ヒッグス粒子のポテンシャルも予言することが可能となり、
電弱対称性の破れの起源の解明に迫ることができるともしている。

https://news.mynavi.jp/article/20210708-1917590/p