新型コロナのワクチン接種には、通常「1ml」の注射器が使われますが、最近、医療機関には厚生労働省から「2ml」のものが配布されています。現場から、目盛りの数や形が異なり、「正確な量がとりづらい」との批判の声も。
毎週100人以上の接種を行っていますが、最近、ある問題に直面しているといいます。先月28日に厚生労働省から届いた注射器。
「今までは、1mlの細長い(注射器)が来てたんですよね。これ見るからにずんぐりむっくりというかね、2mlの注射器」(どうたれ内科診療所 堂垂伸治 院長)
下が、いままで届いていた1mlの注射器。上が、今回届いた2mlの注射器。2mlの注射器が使いにくいというのです。
Q.(2mlの注射器が)最初届いた時は?
「一言で言って『何これ』って感じですよね。注射をやってる人の常識として、これで0.3mlを吸入するというのは至難の業。間違いが起こり得るなという事を感じました」(どうたれ内科診療所 堂垂伸治 院長)
ファイザー社のワクチンは、瓶から1回分に必要な0.3mlを吸い上げて使います。これまでの1mlの注射器の場合は、0.1mlごとに数字があり、分かりやすくなっています。一方、2mlのものは・・・目盛りはあるものの、0.3mlの表記はありません。しかも、目盛りの幅が狭いために、調整しにくいのです。
他にも使いづらい点があります。実際にワクチンの準備を行う看護師は。
「凄く硬いんです、このシリンジ(注射器)が。力が要るのと、エア(空気)が凄く入ってしまって、エアを抜くのが一苦労。目盛りがホント、ここで良いのかなっていうのを合わせるのも結構大変なので、(掛かる時間が)倍まではいかないかもしれないですけど、だいぶ神経使います」(どうたれ内科診療所 看護師)
千葉大学医学部で教授も務める堂垂医師は、こう指摘します。
「医師が『今から0.3mlを注射するぞ』と言った時に、研修医が2mlの注射筒を持って行ったら、どやしつけられるんじゃないかと思う。0.3mlを注射する時は、誰がみても1mlの注射器を選ぶ」(どうたれ内科診療所 堂垂伸治 院長)
SNS上でも、様々な指摘が上がっています。
「こんな注射器使えって、かなりアバウトな量で良い、というお国からの指示ですね」
「0.3mlをそのシリンジで吸うのは厳しいですね。そうか、ワクチンよりも1mlのシリンジが枯渇してるのか・・・」
また、堂垂医師は2mlの注射器の場合、量の調整が難しいため、ワクチンの接種回数が減ってしまうことを懸念しています。
「0.3mlとったつもりが少しずつ多くて、最後には0.25mlしか残らないことが十分あり得ます。1バイアル(1瓶)で6人とる予定だったのが、5人しかとれないという事があり得ます」(どうたれ内科診療所 堂垂伸治 院長)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f8074d5d1f85a8317951df6bb7abe4f78f6ebc41