出入国管理法などの改正案をめぐり、与党側が12日の衆議院法務委員会で採決する構えなのに対し、野党側は収容施設でスリランカ人の女性が死亡した真相究明が先決であり応じられないとしていて、与野党の間で調整が行われる見通しです。

不法滞在などで国外退去処分を受けた外国人が出国を拒否し、施設での収容が長期化するケースが相次いでいることを受けて、政府が提出した収容の在り方を見直すための出入国管理法などの改正案が衆議院法務委員会で審議されています。

改正案では、逃亡のおそれが低いなどの条件を満たす人は、退去までの間、親族などのもとで生活することを認める一方、難民申請中であっても3回目以降は強制送還できるとする規定が盛り込まれています。

与党側は会期末が迫る中、12日の採決を提案していて、自民党の森山国会対策委員長は「審議時間は十分に足りているので、できるだけ採決を急ぎたい」と述べました。

これに対し野党側は、ことし3月、名古屋出入国在留管理局に収容されていた30代のスリランカ人の女性が死亡した真相究明が先決だと主張し、採決には応じられないとしています。

また、立憲民主党の枝野代表は「法案を廃案にし、事実解明を進めるよう強く求めていきたい」と述べる一方、野党側からは、改正案について、難民として保護すべき人まで強制送還される可能性もはらんでいるという指摘も出ています。

ただ、与党側は女性の死亡と改正案の審議は分けて考えるべきだとして12日の委員会で採決する構えで、与野党の間で調整が行われる見通しです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210512/k10013025221000.html