政府の新型コロナウイルス対策には不満が多いのに、世論の内閣支持率は横ばいか微増である。
菅義偉首相の4月訪米が好感されたとの分析が定説だ。コロナも怖いけど大中華復興の中国はもっと怖い
米国との同盟関係を固めてきた菅さんは、やるべきことはやってるじゃないというわけか。物分かりがいい。

今回の日米共同声明はどこが危ういか。ある重鎮は例示した。「台湾と書くのはいい。
表現は両岸問題の平和的解決で穏当だ。不安なのは頭から、日本は自らの防衛力を強化すると
決意したなんて書くかね。防衛力は強化すべきですよ。日本はこうすると首相が会談で言うのはいい。
でも、日米が文書で大っぴらに書く話じゃないでしょう。中国より、米国の証文に使われる」。
日本は米国から台湾有事に自衛隊も出す関連法、香港や新疆ウイグル自治区の人権侵害制裁法整備などを迫られ、
これでも和らげたと解説される。中国は在米・在日大使館が「強烈な不満」をコメントしたきり沈黙中。
日米“対中同盟”関係の実態を見定めているに違いない。

まずは米国が対中包囲網を理由に、日米軍駐留経費負担増や巨額な防衛装備品の支払いを
日本に求めるのだろう。企業に人権や通信、技術、資本など“経済安全保障”上の懸念を突きつける
動きも過熱気味だ。米国は競争と協調の両面から中国と独自に駆け引きする。日本の対中戦略? 分からない。

https://mainichi.jp/articles/20210501/ddm/005/070/017000c