フィリピン西部のパラワン島から西に300キロ離れた南シナ海では、先月上旬、中国の漁船およそ220隻が
停泊しているのが確認され、一部は今もとどまり続けています。

この問題を受けてフィリピン外務省は、駐在する中国の黄渓連大使を12日に呼んで抗議したことを明らかにしました。

この中で、フィリピン外務省のブエンスセソ次官代理は、黄大使に最大限の不満を表明したうえで「フィリピンの
排他的経済水域内であり、停泊が長引くことは、この海域の緊張を高める原因となる」と抗議したということです。

また「南シナ海のほぼ全域の管轄権を持つという中国の主張は、国際的な仲裁裁判の判断により国際法上、
全面的に否定されている」とも指摘したということです。

これまでフィリピンのドゥテルテ大統領は、中国からの巨額の経済支援を目当てに、南シナ海問題を棚上げする
姿勢を示してきており、中国大使を呼んで抗議するのは異例です。

フィリピンは今月に入り、閣僚が相次いでアメリカの閣僚と電話会談を行い、アメリカとともに南シナ海での
中国の動きに懸念を示したほか、12日からはアメリカとの定例の合同軍事演習を2年ぶりに再開するなど、
中国をけん制する動きをみせています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210413/k10012972841000.html