ガキの頃、普通に歩けなくてな
平地歩いててもすぐこけるし、階段から転げ落ちるし
そしたら当然親に聞くだろ？
親父いわく「皆同じなのに努力して歩いてんだ 歩けないのはお前が努力してないからだ」と
それ聞いて奮起して同じように動けるようにメチャクチャ努力して
野球部に入ってキャッチが下手くそで全然出来なくて目で角度を見て数秒後を予測したら捕れるようになったから
「なるほど、みんなこうやってんだな」と学習してた
三十過ぎた頃に仕事でちょっと躓いて先輩に聞いたわけよ
「それ、どうやって動かしてるんですか？」と
俺の左手が感覚無いことを伝えて(この時点で俺は相手も同じだと思い込んでる)、どう努力してそこに至ったのかを聞いた
返答は「お前、ちょっと病院行ってこい」
診察結果は左半身の完全麻痺
左手だけじゃなくて足もだった
理学療法士いわく「代償動作が多過ぎてリハビリする余地がない」とかでそれっきりだな
分かったことは俺の親父が昔から努力主義に支配されていて努力無しに成功は無い
努力したら必ず成功するという思想に取りつかれてたことくらいだな
