吉田秀彦涙「早すぎますよ」古賀さんとのお別れ全文

「早すぎますよ。亡くなる前日、会いましたね。その時、手を握って頑張ってと声をかけたら、
先輩は手を握りかえしてくれましたね。その感触は今でも残ってます。あれは『俺頑張るよ』という
返事だと思ってました。先輩との出会いは私が中学校3年の時。講道学舎で。
その時、先輩は高校2年生。既に柔道界のスーパースター。もちろん私の中でも憧れの先輩でした。
ヒョロヒョロで柔道も弱かった私を投げやすいからといって付き人にしてくれましたね。
柔道以外でも耳かきがうまいからといって毎晩のように先輩の部屋に呼んでくれましたね。
先輩の部屋には学舎では禁止のTVが隠してあって、先輩の耳かきをしながらそのTVを見るのが
楽しみな時間でした。先輩は大学生になってもいつも学舎の私の部屋に泊まりにきてましたね。
気が付くと先輩のぶっとい腕で、腕枕で寝てたこともありましたね。そして私のパンツを勝手にはいて、
じゃあまた後でといって練習に行ってましたね。先輩の近くにいたから柔道でも先輩に
追い付きたいと思うようになり、いつか同じ世界の舞台で戦いたいという夢ができました。
その夢が実現したのがバルセロナ五輪。日本中から金メダル確実と言われていた先輩。
けがをさせてしまった時、頭の中が真っ白になりました。今でも思い出します。その日、
選手村に帰ると、先輩私に気を使って『俺これで金メダル取れるよ。だからお前も絶対に
取れ』といってくれましたね。でも実際先輩はベッドから動くこともできない状態で、
いつ棄権を申し出るのかと思っていました。それから試合までの10日間はほとんどの
食事を取らないで減量に励み、本気で金メダルを取ろうとしてる、その姿を見て、
この人なら本当に金メダルを取れるかもしれないというふうに思わせてくれました。
(以下略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/804f6b0200fe0c8463656c92a6e4a3fe0ea4920d