【北京=三塚聖平】中国の王毅国務委員兼外相は7日の記者会見で、バイデン米政権への警戒を
隠さなかった。トランプ前政権で悪化した米中関係を改善させる好機と捉えて接近を図った中国だが、
自らが「核心的利益」と位置付ける香港問題などへの圧力はむしろ増しており、対中強硬姿勢を
緩めない米国にいらだちを募らせている。

 「米国は新たな障害を作り出すべきではない」

 全国人民代表大会(全人代)の会場で行った会見で、王氏は対米牽制の発言を重ねた。「協力を
双方が追求する主要目標にすべきだ」とも呼び掛けたものの、批判のトーンが強まったのは
明らかだった。

 1月20日のバイデン政権発足前、王氏は「再び両国関係が正しい軌道に戻って協力することを望む」
と強調。気候変動や新型コロナウイルス対策など、バイデン政権が重視する分野での協力を何度も
提案した。

 しかし、今のところ中国が期待したような反応は得られていない。香港や新疆(しんきょう)
ウイグル自治区などでの人権問題への批判は強まる一方で、対中制裁関税撤廃へ向けた動きもない。
習近平国家主席は2月に行ったバイデン大統領との初の電話会談で、米中間で各種の対話枠組みを
再構築することを提案したが、米側からは事実上黙殺されている。

 全人代直前の今月3日にブリンケン米国務長官が表明した外交政策の大枠では、対中関係を
「21世紀における最大の地政学的な試練」と位置づけた。中国側には「自ら失点を重ねる
トランプ政権の方が相手にしやすかった」(メディア関係者)との見方が広がる。
https://www.sankei.com/world/news/210308/wor2103080001-n1.html