WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスのワクチンの供給が依然として十分でないとして世界各地で広く生産ができるようワクチンに関する知的財産権の保護を一時的に停止すべきだと訴えました。

WHOのテドロス事務局長は5日の定例の記者会見で、新型コロナウイルスのワクチンの公平な分配を目指す「COVAXファシリティ」を通して、これまでにアフリカやアジアなど20か国に合わせて2000万回分を超えるワクチンが供給されたことを明らかにしました。

ただ、テドロス事務局長は「勇気づけられる進展だが、COVAXを通じて供給されるワクチンの数は比較的少ない」と述べ、ワクチンの生産を大幅に増やすしくみが必要だという考えを示しました。

そのうえで緊急時の対応が求められるとして、新型コロナウイルスのワクチンに関する知的財産権の保護を一時的に停止し、世界各地でより広く生産できるようにすべきだと訴えました。

ワクチンに関する知的財産権の扱いはWTO=世界貿易機関で議論されていて、南アフリカとインドが一時的な停止を提案して途上国の支持を集めていますが、製薬会社を抱える先進国は技術革新に支障が出るなどとしてこれに反対し、協議は難航しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210306/k10012900731000.html