フランスはアルジェリアの植民地化をめぐる問題に取り組むにあたって、日韓関係を参考にすべきだ──。こう提言する報告書が、1月20日、フランスのマクロン大統領に提出された。

歴史家バンジャマン・ストラによる報告書の特徴は「アジアへの寄り道」をしているところだ。日本が中国や韓国に対して謝罪をしても、その効力が限られていたことを踏まえ、フランスがアルジェリアに対して似たような「悔悟」の行為をする選択肢を排除しているのだ。

まずはこのようにアジアへの“回り道”をしたことを評価すべきである。この報告書ではアジアのほかに南アフリカやチリなど、いまも“記憶をめぐる争い”が続く場所についての記述がある。このようなグローバルな視点で問題に取り組んだことには拍手しかない。

報告書で描かれたアジアの状況は全般的に正確である。日本もフランスと同じで「記憶をめぐる一連の争いに見舞われている」というのは、まさにその通りだ。報告書では日中と日韓の対立について書かれ、とりわけ「慰安婦」や政治家の靖国神社への参拝の問題に記述がしっかりと割かれている。

ただし報告書で言及されていないこともある。それはフランス領アルジェリアと日本統治下の朝鮮が植民地として似た経験をしたことである。じつはここにこそ、日本の謝罪について考えることの妥当性をよりよく理解できる鍵があるのだ。

烏賊ソース
https://courrier.jp/news/archives/234325/