「女性蔑視発言、見て見ぬふりの構造が罪」日本ラグビー協会理事・谷口真由美さん
2021/02/13 11:00

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は自らの女性蔑視発言の責任を取って辞任を表明した。一連の問題に関して、日本ラグビー協会理事の谷口真由美さんに話を聞いた。
 今回の出来事は家庭内暴力、ドメスティック・バイオレンス(DV)の構造に似ている。公の場での公人による差別発言、これは国家的DVとも言える。
 DV被害者は暴言や暴力を受けても「騒ぎ立てるほどでもない」と考えがち。第三者の指摘がなければ被害が表に出ないことも多い。森喜朗さんの発言に対し、外から国際世論が激しく反応し、若い女性らが中心になって「おかしいでしょ」と声を上げた。母親世代のどんな女性も会社や自治会、PTAなど何らかの会議に出たことがあり、自分に置き換えて考えたのだ。

 森さんの発言が出たあいさつは40分に及び、出席者の多くは聞き流してしまった。この問題は森さんの個人的資質ではすまない。多くの人が「内なる森さん」を抱えているということだ。
 顕在化しないのは自制か、周囲に止める人がいるから。それが今回、なかった。見て見ぬふりをした周りの人間の罪も深い。
 森さんは過去に何回も失言事件があり、自らをアップデートする機会があったはず。それができていないことを感じつつも日本社会はトップに据えてきたのが現実だ。絶対的権力を握る一人がその組織全体を腐敗させる。歴史を見ればわかる。
 女性差別撤廃に向け積み上げてきた地道な努力も、たった一つの失言で台無しになるということだ。森さんの後任を選ぶだけでは事態は何も変わらないことを私たちは肝に銘じなければならない。(聞き手・片岡達美)

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202102/sp/0014076802.shtml

サンモニ谷口真由美「拉致被害の話はもう分かってる、この局面で出すなよ!」トランプ国連演説を批判
https://ksl-live.com/blog11201