号泣する女性客の隣で観た西野亮廣『えんとつ町のプペル』 宮崎駿の背中は遠い…

■現在公開中『えんとつ町のプペル』★☆☆☆☆(星1つ)

えんとつ町のコピペ感

「えんとつ町は煙突だらけ。
そこかしこから煙が上がり、頭の上はモックモク。
黒い煙でモックモク。
えんとつ町に住む人は、青い空を知りません。輝く星を知りません」

 えんとつの向こうの世界をくり返し、紙芝居で語るブルーノは、ホラ吹きだと村八分になってしまう。
でも煙の向こうには父さんが言ったように、青い空、星空があるんだ! それを明らかにするため息子のルビッチは旅に出る。
城を発見し父親が嘘つきじゃなかったことを証明した、あの『天空の城ラピュタ』(1986)のパズーみたいに!

 渋谷駅前のスクランブル交差点だったり大阪の道頓堀だったりををベースにしたような街角が散見される。
アジアを基本に無国籍風に仕上げた町の景観は、酸性雨が降りつづける『ブレードランナー』(1982)が描いた2019年11月のロサンゼルスから影響を受けたのか。
赤い提灯があちこちを飾っているのは、『千と千尋の神隠し』(2001)冒頭、ひしめき合う屋台の軒に吊るされていた提灯を、思い出させる……。

あちこちの映画から設定や世界観をコピペしてきたような『えんとつ町のプペル』の原案・脚本・製作総指揮をつとめたのはごぞんじ、
「芸人で絵本作家で、日本最大のオンラインサロンを運営している」西野亮廣氏だ。

 『えんとつ町のプペル』というアニメーションは、100分の上映時間のあいだだけでも現実を忘れさせてくれる、
とっておきの魔術・奇術に値する“見世物”になっていただろうか?しかし結果は……失敗したスプーン曲げくらい、の出来である。
西野氏がくり返し目配せするジブリ作品でいうならば『ゲド戦記』(2006)以上、『借りぐらしのアリエッティ』(2010)以下くらい?

 こんな映画に優秀アニメーション作品賞を与えたりしてしまうのだから、日本アカデミーも罪深い。
https://news.livedoor.com/article/detail/19673956/
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