近頃はニュースで海外での新型コロナワクチン接種のシーンをよく見ます。みなさまになじみのあるインフルエンザワクチンとは打ち方がちょっと違うのにお気づきでしょうか。

【画像】ワクチン接種態勢「27日にシミュレーション」

 日本ではインフルエンザワクチンは皮下注射です。皮膚をすこしつまんで注射針は斜めに角度をつけて浅く刺します。一方、新型コロナワクチンは筋肉注射といって上腕の筋肉に注射針を直角に深く刺して打っています。筋肉は皮下組織より深いところにあるからです。ニュースでワクチン接種のシーンが流れたときに注意して見てください。

 実は、インフルエンザワクチンも海外では皮下注射ではなく筋肉注射です。日本では「ワクチンは原則皮下注射」というローカルルールがあり、インフルエンザワクチンに限らず、海外では筋肉注射されているワクチンの多くが日本では皮下注射されています。

 日本で筋肉注射が避けられているのには歴史的な背景があります。不適切な筋肉注射のせいで「大腿四頭筋拘縮症」という副作用が多く起こったことからだそうです。1970年代と言いますから私が子供のころです。抗菌薬や解熱薬を何度も大量に筋肉注射したためであって、ワクチンの筋肉注射ではそのような副作用は起こりません。

 ワクチンの種類にもよりますが、皮下注射よりも筋肉注射のほうが免疫がつきやすく局所の副作用も小さいという報告があります。たとえば、B型肝炎ワクチンは皮下注射よりも筋肉注射のほうが抗体が付きやすいという海外のデータがあります。添付文書上では皮下注射でも筋肉注射でもどちらでもいいことになっていますが、日本ではたいていは皮下注射されます。規定通り3回のワクチンを接種しても10%ぐらいは十分な抗体がつかない人がいますが、追加接種を筋肉注射で行ったりします。



https://news.yahoo.co.jp/articles/5cbb6c9a5e8e37d1f3bb0b36551f7820adf57572