フランス国立科学研究センター(CNRS)のMelaine Saillenfest氏らの研究グループは、土星の自転軸は軌道面(公転軌道が描く平面)に対する傾斜角が
今も増し続けていて、その角度は今後数十億年で現在の2倍以上になる可能性を示した研究成果を発表しました。

太陽系で2番目に大きく、幅の広い輪が印象的な惑星である土星の自転軸は、軌道面に対して約27度傾いています。
巨大惑星の自転軸の傾きはさまざまで、太陽系最大の惑星である木星の自転軸は3度ほどしか傾いていませんが、天王星はほぼ横倒し(約98度)になっているほどです。

惑星は若い星を取り囲むガスや塵の集まりである原始惑星系円盤のなかで誕生すると考えられています。
研究グループによると、形成されて間もない巨大惑星の自転軸は軌道面に対してあまり傾いていないとみられるものの、
土星の自転軸は今から40億年以上前に軌道が変化した海王星の影響を受けて傾き、その後は安定した状態が続いていると考えられてきたといいます。
ところが研究グループによる分析の結果、土星の自転軸は誕生から30億年以上に渡りほとんど傾いておらず(研究グループは3度未満と推定)、
従来の想定よりもずっと後の時代である今から約10億年前に傾き始め、現在も継続している可能性が示されました。
その理由は土星の衛星、特にタイタンの影響によるものだといいます。

土星の約27度傾いた自転軸、今も傾きを増し続けている可能性
https://sorae.info/astronomy/20210122-saturn.html