“人物”が消えて久しい永田町。「今太閤」もいなければ、「剛腕」も今は昔。その間隙をつくように、いつの間にか「絶対的権力者」に上り詰めた者がいる。
自民党幹事長、二階俊博。人呼んで令和のキングメーカー。だが、鵺(ぬえ)の如く正体不明。その男、面妖につき――。

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「GoToキャンペーンには、国民の多くの皆さまが不満を持っていると思います!」

独特の抑揚を伴ったおどろおどろしい声が響き渡る。

「我々は国賊を徹底糾弾すべく立ち上がっております!」
60人超の機動隊員らが、道路を行き交うものものしい車群に目を光らせる。

〈大阪〉〈神戸〉〈奈良〉〈滋賀〉〈岐阜〉〈愛知〉〈愛媛〉……。

異なる団体の車群のナンバープレートに記された各地の地名。さながら「日本の右翼大集結」の図だった。

「GoToキャンペーンの委託先は全国旅行業協会。その会長は二階俊博なのであります!」
「日本の国益を脅かすパンダ二階はこの日本から出て行け!!」
「国賊の鑑のような方であります。絵に描いたような、売国奴の鑑のような方であります!  彼は決してパンダではありません。二階先生は犬なんです!!ぶさいくな中国犬なんです!!!」

中央政界では総理を作り出す力を持つ大政治家、二階俊博。だが地元御坊では、「右翼を呼ぶ男」として奇異な視線を向けられ迷惑がられている。

キングメーカーにして国賊扱い。
この奇怪な男は一体何者なのだろうか――。

https://news.yahoo.co.jp/articles/156450fc6e7dc6c94fa1872bb8507f21e8b739d6