懇意にしていた店の親父さんが亡くなった時、女将さんから頂いた趣味のものがある。
生前俺が欲しそうな目で見ているのを見てたのか、俺に形見分けとして渡すように
言っておいてくれたらしい。多分親父さん、自分の死期を悟ってたんだろうな。
墓参りシーズンになったら時折酒持ってお参りに行ってるよ。

趣味のものは日頃仲良くしている同好の若いのに遺産として引き継がせるつもり。
うちに来るたびに欲しそうな目で見ているし、彼を見ているとかつての俺を思い出す
んだよな。
俺も多分孤独死だろうが、自分の死期を悟ったら彼に渡そうと思っている。