「いじめで果たせなかった晴れ姿を」油絵で成人式に 級友と笑顔の“再会”

熊本県荒尾市で10日に開かれた成人式の会場では、晴れの日を迎えた新成人の席に、振り袖姿の女性を描いた1枚の油絵が置かれた。
3年前、いじめを苦に自ら命を絶った県立高3年の女子生徒=当時(17)。「果たせなかった晴れ姿を」。両親が20歳に育った姿を画家に
依頼して精緻な油絵にしてもらった。同級生たちは油絵を会場に持ち込み、亡き友とともに門出を祝った。

「知華と成人式に出られたらなぁ」。油絵制作は、亡くなった深草知華さん宅を頻繁に訪れる近所の幼なじみのつぶやきがきっかけだった。
両親の悲しみが癒えることはないが、節目を友人たちと迎えさせてあげたい。そんな思いから亡くなる直前の写真を基に、知華さんが好きだった
水色を基調にした振り袖姿を描いてもらった。

県の再調査委員会は昨年5月、いじめを認定し、学校や県教育委員会の対応に問題があったとする報告書をまとめた。
ただ、通っていた高校では当時を知る教員も少なくなり、両親は問題の風化を懸念する。

そんな中、声を掛け続けてくれる同級生の存在は心の支えになっているという。「亡くなった後、何度もふらっと知華に会いにきてくれる。
感謝しかありません」。母親の志乃さん(47)はそう話す。

成人式では、同級生たちが油絵を囲んで記念撮影。小中学校時代の同級生の隅倉瑞穂さん(20)は「当時、知華さんの苦しさに
気付いてあげられず後悔する気持ちもあった」と打ち明けた。それでも「今日、一緒に参加できてよかった。『おめでとう』と声を掛けた」と笑顔を見せた。

式の後に絵を届けてくれた同級生たちに、志乃さんは写真立てとメッセージカードを贈った。「なぜ娘がいないのか考えると苦しい。
でも知華なら友達の未来をきっと応援しているはず」と目頭を押さえた。そして同級生の姿が消えた後、知華さんにそっと語りかけた。
「良かったね」

https://i.imgur.com/KeItgaO.jpg

https://news.yahoo.co.jp/articles/62455a78ff5644da36e1a678d3deacbb90354e7e


知華さんのいじめのニュース

熊本・高3自殺いじめ認定 授業中暴言など5件 第三者委最終報告

報告書によると、昨年5月16日、2年男子が友人らと撮影し、写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿した動画に知華さんが写り込んでいたことが
いじめの引き金になった。17日に動画を見た知華さんのクラスメート5人が2限目の授業中に「死ねばいい」「彼氏がいるなら彼氏を大事にせなんやん」などと発言。
知華さんは3限後に早退して自宅で自殺を図り、翌18日に亡くなった。

第三者委は、授業中の発言や、2限後にクラスメートが動画を投稿した2年男子の所に知華さんを連れて行き、偶然写り込んだのか確認した行為など
5件を「いじめ」と認定。授業中の発言の一部は遺書に記載されており「自死に至った要因と認められる」とした。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/497358/