【独自】ゴーン被告、拘束警戒の日々…「日本が私を狙っている」
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ゴーン被告が過ごすレバノンの邸宅(23日、ベイルートで)=上地洋実撮影

 会社法違反などで起訴された日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(66)が保釈中に中東レバノンに向けて逃亡してから29日で1年となった。現地を訪ねると、身柄拘束を恐れ、警戒を続けながら「逃亡生活」を送る被告の姿が浮かび上がる。(ベイルート 上地洋実)

 その邸宅はひっそりとし、窓越しにも人の動きはうかがえない。今月23日、ベイルート中心部にある高級住宅街の一角。ゴーン被告は逃亡後、日産側の資金約1600万ドル(約17億円)が購入・改築費に充てられた邸宅を拠点に暮らす。

 駐車場の扉の奥には警備員の姿が確認できる。ゴーン被告と毎月会うという実業家の知人によると、被告は24時間体制で身辺警護を受ける。外出時は警護人が事前に下見し、入念に安全を確認しているという。

 ゴーン被告は昨年12月29日深夜、関西空港からプライベートジェットで不法出国した。日本政府はゴーン被告を国際手配し、身柄の引き渡しを求めるが、レバノン側は応じていない。

 「自由であると同時に捕らわれの身でもある。海外に出たら拘束されるリスクがある」。知人はゴーン被告がそう話すのを聞いた。自ら操縦するヨットで友人たちと地中海クルーズに興じることもあるが、レバノン領海から出ないよう常に気を配っているという。

 ゴーン被告の邸宅から約1・5キロのベイルート港で8月、大規模爆発が発生し、200人以上が死亡した。被告は北部の避暑地に滞在し、難を逃れたが、知人はその狼狽(ろうばい)ぶりに驚いた。

 「日本が私を殺すか、逮捕しようと狙っている」。ゴーン被告はそう言って、身の安全が確認できるまで治安当局の関係者に電話をかけ続けたという。

 ゴーン被告は28日、取材に対し、現在の生活について「日本の司法制度の不正から逃れた私は今、妻や家族、友人と過ごし、何げない日常を楽しんでいる」などとする声明を出した。